経営危機から生まれたトヨタ生産方式は、贅肉がなくスリムな生産方式として世界中に広く知れ渡った生産モデルです。世界では、リーン生産という名で、自動車業界だけでなく、様々な製造業から、物流業界、IT業界、サービス業界など非製造業までその考え方と管理フレームワークは広がっています。
トヨタ生産方式は、原価低減を通じて価値創造のリソースを得て利益の創出することを理念とし、JIT:ジャスト・イン・タイムと自働化の二本柱の管理フレームワークがあります。
このコースでは、トヨタ生産方式の生まれた背景と理念、ジャスト・イン・タイムと自働化という2本柱の理解を深め、流れ化・小ロット&タクト・後工程引取り・自働化の原理原則に基づいた管理モデルについて習得します。
【この講座で学ぶこと(セクション構成)】
■Section1 トヨタ生産方式のめざすもの
ドッジ不況からの資金繰りの悪化で倒産の危機に陥り、企業再生をはからなければならなくなった経験から、「在庫を持たない」「借金をしない」「人を活かす」という「ものづくり」のためのトヨタ生産方式が生まれました。
この「在庫を持たない」「借金をしない」「人を活かす」から始まり、後工程引き取り生産、ムダ取り改善、人づくりなどへの進化していくプロセスから、トヨタ生産方式のめざすものを学ぶことができます。
■Section2 トヨタ生産方式の今までの生産方式との違いと意義と効果の理解
経営危機から生まれたトヨタ生産方式は、徹底したムダの削減を行い、世界でリーン生産と呼ばれるムダのない筋肉質な生産モデルによって、企業の競争力を高めることを追求します。また、売価は、市場が決めるものという考え方のもと、原価を積み上げるのではなく、利益を確保できるように原価はつくるものという考え方で、企業の体質の強化も図ります。
ここでは、トヨタ生産方式の考え方を理解し、JIT:ジャスト・イン・タイムの原理原則のもと、工程の流れ化と小ロット生産、必要数でのタクト生産を行い、自働化の原理原則のもと、品質のつくり込みと省人化を行う進め方と効果について学ぶことができます。
■Section3 物と情報の流れ化によってリードタイムを短縮する整流化改善の進め方
トヨタ生産方式の生産モデルは、在庫に依存せず、最短のリードタイムで生産することで、需要変動への対応力を高めることができます。多品種少量生産では、わずかな量の変化でも大きな変動率となり、生産にダメージを与えることから、変動対応性の高さは死活問題となりつつあります。
ここでは、整流化改善の具体的な取り組み方法として1個流しや同期化、多工程持ち、モノと情報の整流化の考え方と進め方を学ぶことができます。
■Section4 変動対応性を高める小ロット・タクト生産の進め方
変動対応性を高めるリードタイム短縮は、整流化とともに小ロットでのタクト生産を進めなければなりません。小ロット化によって工程内の滞留が減り、モノがスムーズに流れることでリードタイムは短くなります。しかし、その反面、段取り回数が増加するため、段取り時間の短縮改善は必須となります。
ここでは、小ロット・タクト生産の課題と進め方、小ロット生産を実現するための段取り改善とタクト生産について学ぶことができます。
■Section5 売れるスピードに追随する後工程引取り生産と在庫削減の進め方
トヨタ生産方式の特徴的な生産原則は、後工程引き取りです。売れた分、出荷した分だけ生産する仕組みが後工程引き取りで、生産を需要に追随させ、必要のないモノを作れないようにするものです。後工程引き取りによって、各工程を連動させるサプライチェーンを構築します。
ここで、ジャスト・イン・タイムそのものと言える後工程引き取りと後補充生産のロジックと在庫削減の効果について学ぶことができます。
■Section6 異常を検知し自動停止して品質と労働生産性を高める自働化の進め方
トヨタ生産方式の自働化は、人偏の付く自働化です。一般的な自動化は自動で動くものとされていますが、トヨタの自働化は、異常を検知して自動で止まることを言います。
また、一般的な自動化は、人の作業を機械化し自動化することで、人を減らすという考え方ですが、トヨタの自動化は、異常停止や不良品の生産を監視するための機械の番人をなくす省人化を目指します。
ここでは、異常を検知して自動で停止する自働化と機械の番人化をなくす省人化の考え方を学んでいただき、アンドンとポカヨケ、インターロックなどの道具の使い方と効果を学ぶことができます。
■Section7 後工程引き取り生産を実現する「かんばん方式」のロジックとツール
需要予測に頼らず、変動にも対応できる生産モデルが後工程引き取り生産で、それを実現するのが「かんばん方式」です。かんばんによって、つくるスピードを、実際の需要である売れるスピードに追随させる生産スタイルです。
「かんばん方式」は、量産型生産から生まれた方式ですが、受注型生産でも「かんばん方式」を適用することができます。
ここでは、かんばん方式を計画生産と比較して、その違いと特性、かんばんによる生産ロジックと効果、受注型生産に適用する方法について学ぶことができます。
【講師について】
200以上のコンサルティングプロジェクトと3万人以上の人材育成実績のあるコンサルソーシングの代表取締役・経営コンサルタントの松井順一が様々な業種・職種における改善実績から培ったノウハウを紹介します。
なお本シリーズは、講座を企画開発したコンサルタントの講師に代わり、講座の進行・解説はレクチャロイド『YUI』がナビゲートします。
【本シリーズ・コースの特徴】
『ものづくり革新・改善シリーズ』とは、「目的の見える化」「課題設定力」「実行力」を高め、業務遂行力の向上に役立つカリキュラムです。製造業・メーカーで用いられるトヨタ生産方式、5S・見える化などの実績ある管理・改善手法を組み込み、製造現場はもちろん、営業・開発・管理間接・サービスなどオフィス業務にも役立つ内容です。
知識を得るための『基本編』、定着度を測る『理解度テスト』、演習で学ぶ『実践編』が基本構成です。(『実践編』のないコースもあります)
コースを最後まで受講した際は、全体の理解度をチェックする『確認テスト』もご活用ください。
ダウンロードできる実践帳票などのツールも用意していますので、職場での実践・改善にお役立てください。
複数の領域に関わるテーマの場合、同じセクションが掲載されているコースもあります。予めご了承ください。